カラン

ヘレディタリー/継承のカランのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
4.5
アリ・アスター、32歳の長編デビュー作で、ホラーの秀作。


☆こっくりさん

こっくりさんというのは、ものが勝手に動きだす心霊現象なので、ゴーストは顕現しない。ゴーストの効果を描くだけである。ホラー映画ではこっくりさん的にゴーストの効果を描くのはよくあることだが、しつこくやられると結構あきる。中島哲也の『来る』(2018)はこっくりさん的描写がちょっと多い。『ヘレディタリー』はこっくりさん的ではなく、こっくりさんそのものを2回やる。そこはかなりつまらなかったが、教室で息子のピーターが腕と顔をつまみ上げられて、机に叩き付けられるシーンで何とか挽回。せめて、最初からそうしておいたら良かったのに。


☆アリ・アスターが逃したチャンス

終盤、ガブリエル・バーンが炎上すると、ママが2段階で変顔になる。素晴らしい顔芸。で、残った息子とママが追いかけっこ状態で、息子が屋根裏に逃げて、入り口を閉める。ママは床ではなく、屋根裏の裏側、つまり廊下の天井に張り付いて、ばんばん叩いてくる。ところで、『エクソシスト』(1973)はブリッジしたまま階段を降りてくる運動で有名である。『エクソシスト』ほどではないにしても、相当なチャンスをアリ・アスターはふいにする。ここで物理法則に反する天井に張りつきばんばん叩きショットを撮らないでおいて、こっくりさんなんてやってる場合じゃない。普通に床を叩いてるのをひっくり返したショットを0.5秒入れておしまい。天井に取りつくのを映さないと、取りついて物理法則に反した運動撮らないと、こっくりさん的をやめられない。

うーん。こういうのを外して最高のホラーとか言われてもな。まあ、長編デビュー作だからね。(^^)


☆妹の口で鳴る、ポン

この音は20回くらい鳴ったろうか?その内、4回くらいは椅子から飛び上がった。全方位で鳴るのだが、後ろからのがきつい。誰かの気配がする生々しい音がする。羽虫とかも凄い。ブーンて頭を取り巻くように音を出してくる。ベース音のしつこさも好き。サウンドはとにかく素晴らしい。


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