間違いなく最近見たホラー映画ではピカイチの出来でした。ホラーというよりはカルト映画ですか。
カルト教団に家庭を蝕まれる恐怖、家庭の崩壊、見知らぬ人間からの悪意、常に何らかの不快感があって全く一時も気の休まる時間がなかったです2時間緊張しっぱなし。
主人公と思しき人間が次々入れ替わって視点が切り替わるので、展開が読みづらい、その視点が見ているものは本物なのかどうかが全く信頼ならない（特にアニーの視点）ようになっていて、怖い。
冒頭のミニチュアハウスの描写で家族の今後を予見させて、お母さんが実際にミニチュア作家をしているのは何とも言えない絶望感。うまい。こういうところや、何か大きなものに操られて一家が崩壊していく過程、主要人物の視点が全く信用ならないようなところがどこかキューブリックのシャイニングに近い映画体験でした。フォーカスしている狂気は全く違った種類のものだけど、演出はそれに近いものがあり、恐怖や不快感、絶望感はそれ以上のものがあります。シャイニングと違って、主人公たちを追い詰めるものが赤の他人の悪意（異常な信仰によるもので、カルト教団に悪意があるのかすら疑問ですが）となれば、恐ろしさに拍車がかかっていることは簡単に想像できますね。
期待通りの映画でした。
ミッドサマーも楽しみにしています。
