外面

ヘレディタリー/継承の外面のネタバレレビュー・内容・結末

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ミッドサマーを作った監督の純粋なホラー、って認識で見たので思ってたのと方向性が全然違くてびっくりしちゃった。ミッドサマーが独特なのかと思ってたけどアリアスター監督が独特なだけだったのね。純粋なホラーに見せかけてあそこまで監督節を出せるの凄い。けど、テレビの画面で見るにはちょっと壮大すぎるんだよなあ……ミッドサマーで思ったことを再確認したけどやっぱりこの監督の映画は圧倒的映画館向き。途中で我に返ってしまうと何やってんだ?の連続になってしまうからいけない。物語に入り込めれば恐怖がくるけどそれが難しいように感じた。

今日は純粋に驚きたかったから語弊を恐れず言うとガッカリだった。前ミッドサマー見に行った友達が全然怖くなかった意味わかんなかったってケロッとしてるのを見て心底疑問だったんだけどちょっと分かったかも。あとミッドサマーを「これを好きって言ってるやつは自分の映画通っぽい所に酔っているだけ」ってレビューしてる方とか。おばけ!びっくり!を求めて見に行っていきなり儀式がなんだとか言われたらそんなの聞いてねえよ!ってびっくりしちゃうよ確かに。静かな狂気がずっと付きまとってるタイプのホラーだもん…。
これは予告編映像にも非ある。まるでびっくりするホラーです!みたいな予告だからそれに釣られてみたびっくりを求める人からしたらは?ってなって当然。だからこの監督の映画賛否両論別れてる気がする。元々儀式系(?)が好きとか伏線回収を求める人とか、割と映画を通して考察深めて多くの事を感じ取りたいタイプにはめちゃくちゃハマりそう。勿論考察深める系も大好きだけど、軽く怖がりたいと思ってホラーってジャンルなだけでこれを見だしたら求めてるやつと違うわ〜ってなる。今日の私です。

儀式系は本当に途中に散らばる伏線を真っ直ぐ受け止められた者勝ちみたいな所あるよね。ちょっとムズいなって思って聞き流すと入り込めない。けど2時間越えだし体力使うから見返すのも大変だしね…。ミッドサマー(さっきから比べてばかりでごめん)の時は「そういう祭り」って思想が前提だったからしっかり聞けたんだけど普通の家で起こり始めたから気抜いてた。ホラーなのに伏線部分とても長いから本当に驚かせにかかるのが半分超えてからだしそこからも畳み掛けるまでにちょっと時間あるし、よし見るぞ!って気持ちを固めておかないと辛い。寝不足で見ると普通に前半眠すぎた。チャーリーの顔吹っ飛んで起床みたいなとこあった。

監督の色は構図とかでも強かった。最初のカットの緑、木の家、窓の定点でもう凄いミッドサマーって感じしたし。通路を歩きながら反転?する技法も。そして全裸の人間を出したがりすぎ!あと音で怖がらせる時も不協和音(例シャイニング)とかじゃなくてひたすら重低音だし。

技法繋がりで話すと、おばあちゃんの写真の定点とか、シャイニングの双子のカットを彷彿とさせる。いきなりバッて入れてくる感じ(そしてラストシーンと繋がるのいい)。お父さんとピーターの対話の時喋るタイミングごと場面カチカチ変えるのすごいこわい、次何映るかわかんないから。
お母さんの仕事が繊細で気を張るタイプのだからその緊張感のままホラー展開は心理利用してんなって思う。模型?ドールハウス?のシーンとか顕著だけど対象物をジワジワアップにしていくのも静かな狂気タイプを感じる理由の一つになってる。

途中本当に母親が頭おかしくなっただけオチかと思ってたけど最後までオカルトを貫き通してくれたのは強い。祖母からの手紙にあった犠牲は恩恵のためにあるって言葉、初めに出てくるくせにそれが全てでよかった。
演技力みんな強いな、、お母さんの顔芸凄い。夫が燃えた時の驚愕→無の表情変化がゾクッとした。あとピーターもそうだけど顔に疲労を出すのが天才。
あと私虫が苦手な集合体恐怖症なんですけど、死体(の顔面)に群がる蟻があまりに無理でした。本当に無理、キツイ。
ピーターが頭打ち付けるところ、驚いてるだけじゃなくてスマホで映像撮ってる人がいるの凄いリアルだった。現代。
解離性同一性障害って多重人格の事なのね
見えない祖母やチャーリーを光で表すの分かりやすくていい。
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