いずみ

5時から7時までのクレオのいずみのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
4.1
車から眺めるパリと、クレオの目線で見るパリの風景、人々。リアルタイム映画でもあり、カメラに向ける目線(クレオに向ける目線)がドキュメンタリーっぽかった。医者から癌であるかもしれないことを告げられ、占い師にも死相が見えると宣告され落ち込んで気が狂うクレオ。ほぼリアルタイムだからこそクレオの5時から7時までの感情の浮き沈みにとても感情移入ができる。シャンソン歌手である彼女は自分の家で歌ったり踊ったり、久しぶりに友人に会ったりして自分の気分を少しでも紛らわそうとする。途中ラウロという男の家で短編の無声映画を観るのだがそこにもリュミエールの水を撒かれた〜のオマージュがちらっと見えたりと映画愛を感じる。さらに冒頭のタロット占いを映すシーンだけはカラーであり後はすべてモノクロ。モノクロからカラーという変革を逆にしているのもヌーヴェルヴァーグ的で面白い。クレオが公園で一人でステップを刻み歌うシーン、途中騎兵隊の兵士と出会い癌の告知まで共にする時間の演出がとてもうまい。全く予期もしない関係のない男を取り入れるのは少し劇的だ。
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