5時から7時までのクレオの作品情報・感想・評価

5時から7時までのクレオ1961年製作の映画)

CLEO DE 5 A 7

上映日:2017年07月22日

製作国:

上映時間:90分

ジャンル:

3.8

あらすじ

若く美しい歌手クレオは、癌検査の結果を待っていた。パリの街をさまよい歩くクレオは恋人、仲間の音楽家、女ともだち、見知らぬ兵士など、人々との交流を通して、これまでは見えていなかった世界に気付く。そうして心の安らぎを少しずつとり戻した2時間後、クレオは医師から検査結果を告げられる。

「5時から7時までのクレオ」に投稿された感想・評価

Angie

Angieの感想・評価

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約2時間の間を同時進行しながらリアリズムで描く作品は、生と死の間を彷徨う。
アニエスヴァルダの言葉を引用すると、「歩きながら考えるよりも、感じる」
クレオはパリを彷徨う。クレオは不安の中を彷徨う。そして死が出会いを結びつけ、そしてラストには幸せを少しばかり感じるのであった。

時にカメラはクレオの目になり私たちもクレオになる。クレオは人の目をひどく気にしていた。そんな様子がよく表されている「他の人々」のシーンは印象的。(これは、もしかしたらゲリラ撮影をじろじろ見る人ではないかと思わせる。これが逆に不信感を持った人の顔を自然に映し出していてピッタリだ。)

アニエスの引用に戻るが、本編の間クレオにそこまで感情を移入することもできない。アニエスの気持ちを必死に推測しようとしたが、それはできないのだ。アニエス曰く、クレオを「感じる」だけなのだ。死の恐怖を味わっている中でパリをさまよい目的もなく歩くクレオを感じる。私たちにできるのはそれだけ。
この物語はハッピーエンド的に終わりを迎える。死の恐怖が共通点になり結びついた兵士との会話は自然体で特に特別なことはない。だが2人の足取りに希望や幸福感を感じることはできる。そして医者からの病気は重大じゃない宣告。
1つの不幸を大げさに捉え、人生終わったかのように悲観的になりつつ彷徨う女は、意外と事の発端が解決しそうになり、真顔でぽろっと、幸せだわと言う。この時の、クレオの人間らしさ。そしてそれを見つめる兵士の切なさ。
そして映画が突然終わった時に、私たちはこれはなんだったんだ??とハテナマークを浮かべる。クレオが癌でもそうでもどちらでもいい。クレオのその2時間の間、彼女が死の恐怖に怯えつつもパリを歩いたその事実こそが真実なのだ。
クレオ(コリーヌ・マルシャン)は、ポップシンガーである。クレオは、生体組織診断の結果を待つ間、自分は癌なのではないかという恐怖を抱きながら、パリの街中をさまよう。7時に医師と会う心の準備をしながら、死に取り組もうとしつつ、何人かの友だちや見知らぬ人と出逢う。

ヌーヴェルヴァーグ解説書によると、ヌーヴェルヴァーグのはっきりとした流れは雑誌「カイエ・デュ・シネマ」に寄稿していたジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォー、エリック・ロメールらセーヌ川をはさむ右岸派と、これに対してモンパルナス界隈で集っていたアラン・レネ、ジャック・ドゥミ、アニエス・ヴァルダは左岸派に分類されるという。

今作はヌーヴェルヴァーグの左岸派の紅一点、アニエス・ヴァルダ監督作。自分が死に至る病気かもとタロット占いを見てもらうオープニング映像のみはカラー、あとは白と黒をお洒落に使い分けたノワール映像。ヒロインが有名歌手で顔が知られているという設定もあってか、ヌーヴェルヴァーグの監督らしくパリの喧騒、街なかを即興で撮影。行き交う人が立ち止まり、視線を向けるのも面白い。

それに、友人のピアニストに作曲も手がけたミッシェル・ルグランが登場してピアノ演奏。劇中歌の短編サイレントコメディに、なんとジャン=リュック・ゴダール、アンナ・カリーナ、ジャン=クロード・ブリアリがカメオ出演して楽しい寸劇を演じてみせるなど、これら演出には唸るしかない。

このレビューはネタバレを含みます

2時間の中でのクレオの確かな成長と最後の車と共に引いていくカメラにこんな話だったのかと虚をつかれ思わず感動してしまった
スタイリッシュなモノクロ画像。
構図が決まっている。

クレオが癌への恐怖を持ちつつも、それを受け入れ立ち向かうであろうほんの2時間ばかりの心の動きを追う。

人の目ばかり気にしている自意識過剰気味な心が落ち着きを取り戻していく。

表情が段々と輝くように、見えていく後半はオープニングとは別人のようです。他人目線から自分目線へ移行していった。それが理由でしょう。

古さを感じさせない作品です。
iago

iagoの感想・評価

4.0
次々と映し出されるすれ違う人達の視線から感じられるクレオの不安感。友人と別れた後の明るい公園からちょっと気が晴れた気もして、画に色を必要としない演出がおしゃれだなぁって感じ。
アニエス・ヴァルダ監督によるドキュメンタリー・タッチの映画。
ある女性クレオが診断結果を待つ夕方5時から7時を描く。

映画は、占い師が女性クレオ(コリンヌ・マルシャン)をカード占いする場面から始まる。
ここで、占いに使っているカードはカラーで撮影されているのに、占い場面として人を映す時はモノクロ撮影としている。その後は、モノクロ映像で物語が綴られる。
冒頭場面は、何か実験的映像という感じあり。

さて、クレオは診断結果を待っており、今晩医者から結果の電話を受けることになっているが、心配でカード占いしてもらうが結果は良くなさそうで、心配は更に募る。
女性の友達と車に乗ったり、友達の知り合いに短編映画を見せてもらったりする。この短編映画はサイレント映画なのだが、なんとジャン=リュック・ゴダールが出演しており、思わず喜んでしまう!
映画の中の映画というシチュエーションも好きだが、そこにゴダールをも出演させてしまうあたり、ヴァルダ監督のセンスが光る。

更に、診断結果を心配するクレオが(風光明媚で景色などが美しい)公園で、ある饒舌な男と出会うのだが、その男は休暇が終わってアルジェリアの戦場に戻らなければならない兵士であった。
こうしたアルジェリア戦地の雰囲気も取込み、時事的なエピソードも取り込んでしまうヴァルダ監督の語り口の上手さに感心させられる。

「惜しい!」と思ったのは、冒頭カラー映像のような色彩で、本作の主演を演じた美人女優コリンヌ・マルシャンとその周囲の風景もカラー映像で観たかったことぐらいか。
「実際の色彩は、かなり綺麗だったのだろうなぁ~」と思える綺麗なモノクロ映画であった。
ネット

ネットの感想・評価

3.8
男と会う時の若干スローモーションとクローズアップ!
歌のシーンも好き。ズームだけで、映画は現実と空想の壁を越えられる。
カメオ出演のゴダール、帽子被ってるだけなのにキートンにそっくりすぎた。
一般に想像されるフランス映画の雰囲気に割と近いのでは。

このレビューはネタバレを含みます

アニエス・ヴァルダねえ…
ジャック・ドゥミが見初めた女、どんな映画を撮るもんだろう?と思えば、私にはあまり合わなかった。

見所は、階段を降りるクレオに合わせてテンポが変わるオープニング、ミシェル・ルグラン出演。くらいかな。
おしゃれなんだけどコリンヌ・マルシャンはそんなに可愛くないな??
タロットの種明かしが徐々にされていったのが素敵。
sc

scの感想・評価

3.8
カツラ外した後のクレオが綺麗
不安の駆り立て方とカメラの動きがおもしろい
otom

otomの感想・評価

4.5
水は低きに流れる如くな90分の中でテーマのシーンで時が止まる。アニエス・ヴァルダの演出も素敵だけどもやはりミシェル・ルグランが天才的。今を生きよう。
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