ないよりまし

詩季織々のないよりましのレビュー・感想・評価

詩季織々(2018年製作の映画)
3.5
光の巧みな表現。差し込む光、反射する光、散乱する光…どの箇所を切り取ってもため息をついてしまうほど、精細な光の表現は流石だと思った。
物語は中国を舞台にした3つの短編。
懐かしさと新しさが混じる、日本とはまた違う中国の景色が心地良かった。

1つ目の陽だまりの朝食。
こいつは村上春樹なのか!?というほど、すらすらと自身のモノローグかつ自己紹介。そして、文学的で詩的な食レポ。お陰でお腹が空いてしまった。昔食べた麺と好きだった女の子、自分のいた場所がなくなってしまって悲しいといった話。

2つ目、小さなファッションショー。
幼い頃に両親を亡くし、別々に預けられていたが、大きくなった姉が妹を守るために再び一緒に暮らす話。一人っ子政策ってどうなってんだろうと興味を持った。姉は勝気で、仕事はモデル。妹は控えめで、学生で服飾を学んでいる。姉が妹を守っているつもりでも、妹に助けられていたことに気づく。

3つ目、上海恋。
最後の話とあって、大いに新海誠の影響を受けていると感じた。3編の中でも自分は一番これが突き刺さった。幼馴染との不器用な関係、すれ違い、くよくよと悩んで後悔。悪い結末ではない所は、ちょっと甘いかなと思ったが、苦味が欲しかった。
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