モンティニーの狼男爵

洗骨のモンティニーの狼男爵のレビュー・感想・評価

洗骨(2018年製作の映画)
3.8
ごめんよ監督。。おれホントは『天才作家の妻』見ようと思ってたのよ。チケット購入ミスった、あるあるwww
でも、それでも掘り出し物があるから嫌いじゃない。

個人的に思い入れのある『洗骨』。皮肉にも監督登壇の回に!

洗骨。文字通り死者の骨を洗うその風習は、火葬が主流の現代でも一部の地域に受け継がれている。
舞台は沖縄県粟国島、限定的な葬制を題材にしつつも、そこには確かにつながっている「家族の絆」や死屍累々の中で継承され続けた「命」や「祖先」という、普遍的事実をテーマにしている。

監督・照屋年之。ご承知の言い方をすれば芸人・ガレッジセールのゴリさん、ほんとに気さくな方でおしゃべり好き、あと多分頭がいい。
拝見した当日はたまたま?信綱の姉、信子を演じた大島蓉子さんがいらっしゃって登壇に飛び入り参加されてましたwww


あまり知られていないが今回の監督を務めたゴリさんは何度か映画を撮ってらっしゃる。本作の原題とも言える短編『bone、born、墓音』、長編デビューの『南の島のフリムン』。
しかし今回、初めての本名での発表、それは芸人ゴリとしてではなく一映画人として、本作を世に出したかったという監督としての気概が伺える。他の方のレビューにもある通り、映画としての素養が非常に高い。沖縄の日常を切り取った描写に役者の使い方、その撮影法は今まで短編制作で培った技法が取り込まれているように思う。「洗骨というシリアスな題材で、その通りに映し出せる監督は、恐らく世の中に沢山いらっしゃる。ただ、自分は23年間お笑いの世界で生きてきて、自分にしか作れない世界を映し出したかった。」という、自分なりに考えたユーモアと死を扱うというシリアスのバランスが匠レベルで表現されている。

デジタルの普及や過疎化による希薄になりつつ世の中で、普段実感することの無い家族として繋がりを確実に表現してると思います。女性にこそ見て欲しい、良作。