うちだ

洗骨のうちだのレビュー・感想・評価

洗骨(2018年製作の映画)
4.5

死者を火葬ではなく風葬し、肉が落ち、骨になった頃掘り返し、親族が遺骨を洗う”洗骨”という風習を残す粟国島のとある家族の話。
遺骨を前に泣き出す子供、素面ではなかなかやれない大人も少なくない中、大切な人の変わり果てた姿と向き合う ”洗骨” に彼らはどんな意味を見出すのか。

私はそこまで近しい人の死をまだ経験したことがないのでその痛みを想像することしかできないが、太陽が東から昇り西に沈み、季節が巡るように、人は生きて死ぬ。一人の人間の死が意味するところは1つではないので、残された人間は時に軽快に、時に厳粛にその死を受け止める。
生と死、という普遍的ながらも重い題材も、ゴリさんの優しい笑いを織り交ぜることで重苦しいだけでなく、暖かさをもって描かれている。

自分の子供だろうが、間違えれば謝り、頼む時は頭を下げられる親はそれだけで偉大だと思う。近しい故に、感謝の言葉や謝罪の言葉が言えない、素直な行動が取れない、など "家族だからこそ出来ない" ということは意外と多いと思うから。別れ、新しい出会い、責任や喪失。それぞれの事情を抱えながら、バラバラになった家族が歩み寄り、また1つに結ばれる様は、一人で生きて来た訳じゃない私たちの、誰にでも響くものだと思う。

そして生と死に直面した時、やはり女性は強い。笑
1番、「セックスーー(馬鹿野郎)!!」の叫びで耐え切れず吹きました笑

沖縄を舞台にこの題材を取り上げてくれたゴリさん、慣れない訛りや文化を演じてくれた役者さんに感謝の気持ちが湧く。
もっと多くの人に見て欲しい作品だった。
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