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ペンギン・ハイウェイのMondeFilmのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
2.8
 せっかく夏なので。名前だけは聞いたことがある。特に話題だったわけでもないし、森見登美彦はあんまり好きじゃないが。『夜は短し...』で一生食っていけそう。オープニングがあるタイプの映画。脚本上田誠!ヨーロッパ企画。インストゥルメンタルの音楽を探しに。かつての渋谷系のように。映画を見る理由としての劇伴。
 田んぼを泳ぐペンギンというのはアニメーションの真髄。現実で描き得ない世界。学校ものが描かれるたびに思うが、よく覚えてるな。シミュラークルとしての学校。オタクカルチャーのデータベースとしての少年少女。「陸に上がる時決まって辿るルート」。なんというかオタク文化におけるお約束としての未成年表現というのが自然に思えない。女性が少年を演じるクリシェ。「少年」と呼ぶ感じ。なんとなく鼻につく。というか森見節か?大人が描く子供という不気味さを先立って感じてしまう。オタクは大抵小学生くらいまでは神童であとは落ちていく。「賢さ」が得をしてほしい欲望。小さい頃の全能感。乱暴者はオタクの話を聞かない。こういう主人公って誰が好きになるんだ?年下の男の子。主人公というほど魅力的でもないし、普通に寄っている印象でもない。興味が湧かない。お姉さんより浜本さんの方が印象的。俺は現行のノリについていけないのだと思う。Twitter的なムードに。『若おかみは小学生』もあまり好きじゃなかった。ただジュブナイル的SFとして発想の視野を広げてくれたように思う。なんとはなしに。赤瀬川原平の「宇宙の缶詰」。この作品を享受するには歳を取りすぎた。
 森への探検。廃トラック。自分も好きだった探索。適当に隘路へ迷い込む。「子供の喧嘩には手を出さない方針」。喧嘩か?割とエゲツない。小学校って地域で人が集められるから格差がごった煮になる。未成熟のまま階層の差を埋めるべく暴力。そしてイジメへ...
 なんだかんだ言ってアニメーションは人間を見なくて良い気楽さはある。人の顔は不気味な面がある。途中で眠くなって中断。夏の夜は長い。本と同じで途中まででも、むしろ見るのをやめたからこそ得られるものもあるのか?
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