DJあおやま

ペンギン・ハイウェイのDJあおやまのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
3.8
『夜は短し歩けよ乙女』に続く、原作・森見登美彦×脚本・上田誠のタッグ。ただ制作は、長編作品初となる“スタジオコロリド”という見知らぬ制作会社。そのため、鑑賞前は一抹の不安があったものの、それは杞憂に過ぎなかったよう。
真夏の青空が眩しすぎる、正統派なSFジュブナイル映画。そして、瑞々しく美麗で、それでいて滑らかに動く作画が気持ち良い。新たな夏の定番映画といえよう。

ちょっと背伸びしがちな小生意気な主人公“アオヤマ君”、そんな彼のモノローグではじまるのが小気味良い。彼が未知のことを純粋に探求する姿は胸が躍るものがあった。
そして、そんな彼が特別な想いを寄せる“お姉さん”。このキャラクターがとにかく素晴らしい。自然体な振る舞いに見え隠れするミステリアスさ。大人の余裕さ。声を演じる蒼井優のいやらしくなさ。この絶対的な“お姉さん性”、とにかくすべてが良い。絵も美し過ぎないのも良い。エンドロールで気づいたのだが、キャラクター原案が久野遥子とのことで納得。

ストーリーは、町に突如現れたペンギンたちの謎を追う冒険もの。次々に起こる不可解なできごとに、純粋な好奇心を持って挑む姿は痛快。ただ、クライマックスの展開はちと情報量が多く、着いていけない部分があった。いつしか、自分から少年の頃ばりの柔軟さが失われてしまったのかもしれないと少々気落ちしてしまった。
DJあおやま

DJあおやま