たく

嵐電のたくのレビュー・感想・評価

嵐電(2019年製作の映画)
3.3
「嵐電」の愛称で親しまれる京都の路面電車をめぐって描かれる3組の男女の話で、現実と幻想が交差する不思議な演出に難解さを感じて良く分からなかったね。

嵐電が縁結びの象徴のように描かれるいっぽうで、それに乗車するキツネとタヌキに出会った男女は分かれる運命にあるという都市伝説があったりする。京都の街の風情も含め、なにか土着の霊的な存在の魔力が抱かせる一遍の幻想みたいな感じだった。
鉄オタ男子に恋する女子のくだりがグダグダ演技なのが大林信彦の学園モノっぽく、この二人が子午線と南天っていうヘンテコな名前なのも非現実味を助長する。
弁当屋から何故か役者になっちゃう女性のエピソードがまた不思議で、役者の男と交わした会話を後に出てくる映画撮影で全く同じ内容で繰り返すのがアラン・ロブ・グリエかよと思った。

役者では、人見知りでちょっとメンヘラっぽい小倉嘉子を演じた大西礼芳の不安定で危うい演技が抜群に素晴らしかったね。
たく

たく