テリー微糖

悪魔の季節のテリー微糖のレビュー・感想・評価

悪魔の季節(2018年製作の映画)
4.5
フィリピンの名匠で
長尺映画を撮り続けることで有名な
ラヴ・ディアス監督の最新作!

ひと昔まえに
とある芸人さんが言っていた
「味の向こう側」が
映画にもあるとしたら
この映画が、まさにそれを体験できる
と感じた作品でした!


ちなみに、まだこの作品でも
ラヴ・ディアス監督の作品としては
上映時間は短いほうです

ビジランテものの要素や
「愛のむきだし」のような
宗教映画要素も織り込まれている
反体制メッセージを込めた映画

序盤から
出来事が断片的に提示されるので
これを脳内で線で結ぼうとすると
非常に疲れるし、眠くなります…

そこで考えられたであろう
この映画最大の特徴

それが、台詞!

音階が強調されていて
まさにオペラ!

そして、
同じ台詞を何度も徹底反復させる点が
最も特徴的!

同じ主題を860回繰り返し、
某バラエティ番組では
ピアニストが完奏するのに
18時間を要したことでも知られる
エリック・サティの
「ヴェクサシオン」という
ピアノ楽曲がありますが

この映画も
同じ台詞を何度も繰り返します

何度も同じ台詞を
脳内で咀嚼して
そこに少しずつスパイスが
足されていって
終盤に「味の向こう側」が
ドバドバと溢れ出てくる

そんな作品だなと感じました!

この映画は
モノクロ映画なのですが
不思議なことに
段々と脳内で色が補完されていく
体験をしました!

もう少しで色が
現れてくるのではないかと
感じるぐらいの不思議な体験でした!

そして、ラヴ・ディアス監督作品
やっぱり光(とくにフレア)の
使い方が好き!

どうやったら
あんなにカッコいい
光が撮影できるのかが
不思議でしょうがない!
テリー微糖

テリー微糖