午後

バーニングの午後のレビュー・感想・評価

バーニング(1981年製作の映画)
4.5
嫌われ者のキャンプ場の管理人への鬱憤を晴らすため、悪ガキ達が仕掛けた悪戯が、予期せず管理人の全身が炎上する大事故に発展する。全身大火傷を負い、醜い見た目ゆえに社会生活を満足に送れなくなった管理人は、キャンプ場にやってくる若者達に復讐を始める。という、『13日の金曜日』の大ヒットを受けて作られたスプラッター・ホラーの佳作。
筋書き的にはオーソドックスなスラッシャー映画だが、B級ホラーが観たい時に、求めているものが全て入っている、お手本のような作品。
冒頭の衝撃的な炎上シーンで掴みもバッチリだし、キャンプ場にやってくる若者達もキャラが立っていて良い。やんちゃだけど優しいウッドストックが、ナランチャみたいな可愛さがあって好きだった。あと勝ち気ではにかみ屋のタイガーも可愛い。
また、主人公格のナードが女の子のシャワーを覗くシーンや、朝、布団から飛び出した足の裏や、脱ぎ散らかした衣服をじっくり映すシーンに集約されるように、B級ホラー特有の、窃視的な、女性の肢体への歪んだフェティシズム、強烈なリビドーに満ちた画面が良い。何か劣情を駆り立てられる撮り方。多分監督は脚フェチ、と言うか足、もっと言うと足の裏が好きなんだと思う。
『ゾンビ』や『13日の金曜日』でお馴染みのトム・サヴィーニが特殊メイクを担当している。スプラッター描写にも気合が入っている。筏のシーンでの、強烈な逆光に大きな植木鋏を構えた殺人鬼のシルエットが映り、それからの息もつかせぬ連続殺戮、鮮血の飛び散る画面から、真っ赤な画面にフェードアウトしていく鮮烈な演出が格好良過ぎる。
大傑作というわけではないけれど、B級ホラーって良いな…と心から思える素晴らしい作品。まさしくこう言うのが観たくてホラーを観てるんだ…
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