千年女優

パラレルワールド・ラブストーリーの千年女優のレビュー・感想・評価

2.5
学生時に決まった時刻に山手線の決まった車両に乗り、並走する京浜東北線に乗る真由子に恋心を抱いていた崇史。卒業後に研究員として働く彼が、想い成就し同じ会社で働く真由子と恋仲となる世界と、親友で彼もまた同じ会社で働く智彦と真由子が恋人で激しい嫉妬を覚える世界の両方を体験し、混乱しゆく様を描くSFサスペンス映画です。

現代ミステリ文学の第一人者、東野圭吾がキャリアの初期に執筆した同名小説を『宇宙兄弟』や『聖の青春』で知られる森義隆監督で映画化した作品で、パラレルワールド設定を用いた舞台で愛と友情の狭間で揺れる三角関係を玉森裕太、染谷翔太、吉岡里帆の三人で綴り、宇多田ヒカルの名曲『嫉妬されるべき人生』がラストに華を添えます。

設定優先が過ぎる物語で、自分本位な主人公ら登場人物の魅力は乏しく成立の為の強引な展開故にミステリもSFもおざなり。お話の為に人物や心情を使い捨てるのはコンセプト優先型の作家に多いですが、それって作劇上のサイコパスでちょっと怖いです^^;。伏線とは言えこれみよがしに「カキ」にズームアップされても困ってしまう一作です。
千年女優

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