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教誨師のkuのレビュー・感想・評価

教誨師(2018年製作の映画)
3.8
死刑囚と教誨師による対話。

内容は、受刑者の道徳心の育成や心の救済を行う教誨師の中でも死刑囚専門の牧師・佐伯は、独房で孤独な生活を送る死刑囚たちの良き理解者だった。6人の死刑囚たちに寄り添い対話を重ねる中、自分の思いがしっかりと届いているのか、彼らを安らかな死へと導くことは正しいことなのかと葛藤し、自身も過去と向き合う......というもの。

ほとんどの時間、教誨室で教誨師と死刑囚が対話をするだけのワンシチュエーション映画ですが、対話によってわかる死刑囚の事件の内容(死刑囚の主観)、そして、死刑囚の考え方や個性が出るため、飽きることなく見終わりました。

死刑囚1人20分×6人で1セットであれば、おそらく途中で退屈したと思いますが、死刑囚1人5分×6人を数セットであったため、飽きる前に次の死刑囚との対話に進むという進み方はよかったですね。次の対話では何が聞けるんだろう、とか、死刑囚の新たな一面がみれるかもというワクワクがありました😌

結局どうなんでしょうね。死刑囚は自分の罪としっかり向き合って死刑執行されるんでしょうか。現実ではどうかわかりませんが、今作ではそう思いませんでしたね。ストーカーらしき人も自分が許す側になってましたし、文字が書けなかった老人の最後のメッセージの内容。今作の教誨師を見ても思いますが、死刑囚に寄り添うということはできるかもしれませんが、改心するように導くことはとても難しいのかもしれませんね🤔

今作を見て、教誨師の存在意義を理解しましたし、死刑囚を自殺させないために身近になって寄り添う存在が必要なのは個人的にも納得です。最後に、刑が執行される際の床がバタンと開く音、言い換えると1人の命を落とす音、あの音を聞くシーンがあっただけでも今作を見る価値はありました。
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