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教誨師のgnspのレビュー・感想・評価

教誨師(2018年製作の映画)
5.0
凄まじい熱量で繰り広げられる、魂と魂の一対一の対話。
死刑囚たちはまさに十人十色で、ほっこりさせられるような会話もあれば、背筋を伸ばさせられるような一言もあり。ただ間違いないのは、一人ひとりが絶望の中に舞い降りた大杉漣さん演じる教誨師の佐伯に感情を吐露しているということ。それを佐伯は全力で受け容れる。それもただ全肯定するわけでもなく、しっかりといち人間として。質素な一室という非常に地味な画だからこそ、この魂と魂の対話が我々に深く刻まれる。
途中に佐伯が彼自身のことを語ることがあるんだけど、その時にサッカーの話題があって、嫌でも漣さん本人にシンクロしてしまう。まるで自身の人生を振り返るかのようで。
出演者は全員素晴らしかったけど、高宮役の玉置玲央さんの「厨二妄想をガチでやっちゃったやべーやつ」感は特に凄すぎて怖かった。あの「はい墓穴きましたーwww」と言いたげなニヤニヤの憎らしさときたら。小川さんはまさかの普段は会社員やってる方という。無論全く違和感はなく。過去に少し演技経験があったそうだけど、漣さんや佐向監督はじめ周りの方のサポートも感じられる。
最後に佐伯が気付いた「あること」は、キリスト教オンチな自分でも知ってた聖書のエピソードも重なって鳥肌。

間違いなく今年ベスト級。とにもかくにも大杉漣さんの渾身の演技を目に焼き付けてくれ。
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