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PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」のPolaroidのレビュー・感想・評価

4.2
Sinners of the System Case. 1が佳品ながらTVアニメ拡大版みたいなノリだったので、そういうつもりでCase. 2を観に行ったら、

とっつぁん大活躍!
あの人もあの人も登場!
示唆される新たな波乱の予兆!
新章への期待高まる重要スピンオフ!

だったのでかなり得した気分。


外務省から出向してきた新キャラ・花城フレデリカ準監視官がのっけから怪しすぎる。出向早々、須郷執行官を創設予定の外務省準武装組織にスカウトし、困惑する須郷に向けて、あなたはこんなところにいる人ではないとさらに口説く。かつて、須郷は国防軍のエースパイロットだったのだ。

こうして始まる須郷の回想が本作のメインストーリーとなる。シリーズ時間軸上ではTVアニメ第1期の直前、沖縄を主な舞台に、国防省へのテロを受けて捜査に乗り出した厚生省公安局の活躍を描く。

この出張組がとっつぁんこと刑事課一係の征陸執行官と二係の青柳監視官で、とっつぁんが全編にわたって大活躍。刑事(デカ)の勘を働かせまくり、老獪な話術で情報を引き出し、鋭い観察眼で早々と須郷をシロ認定のうえ真犯人の目星をつけるという、有能な猟犬ぶりを遺憾なく発揮する。

プライベートでも物言わぬ奥さまと哀切極まる対面を果たしたり、ギノとワケあり父子の葛藤を演じたり、妻子をネタに脅しをかけてきた国防省お偉いさんの胸ぐらをつかんで「このヤマ(事件) は俺のヤマだ!」と叫んだりと、シリーズ屈指の征陸刑事フィーチャー作となっている。直前に小説『PSYCHO-PASS Genesis 』1-2巻を読んでいたこともあり、たまらない展開であった。

とっつぁんに加えて秀星、狡噛、前髪長い頃のギノ、青柳監視官の、懐かしい姿を目にすることができるのは視点を過去に置いた作品ならでは。新展開も楽しみだが、こういう過去編スピンオフももっとやってほしい。

この時点でも何やら企てていそうな国防省と外務省、前回の劇場版で謀略の舞台となったSEAUn、そして花城フレデリカの不穏な動きが新作への期待を否が応でも掻き立てる。アブラム・マレク・ベッカム、八尋和爾、槙島聖護、鹿矛囲桐斗というシビュラに挑む者たちの系譜と、厚生省が覇権を握る前の省庁間抗争の残滓たる旧世界の利権集団(国交省、経済省、外務省)はいかにして交わるのか、あるいは交わらないのか。Sinners of the System Case. 3と来るべき新章が楽しみで仕方がない。
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