空化

甲鉄城のカバネリ 海門決戦の空化のネタバレレビュー・内容・結末

1.0

このレビューはネタバレを含みます

映画「テラフォーマーズ」すらダブルスコアで負けるほどに最低な作品。
そもそも"星1"を付けるという事すらしたくない。


何が最低か幾つも挙げられるが、怒りでどこまで正確に連ねられるかは分からない。

・無名、全く脈絡もなく生駒に恋心を抱く
監督インタビュー「無名が生駒を意識する過程は"飛び級"してますね(笑)。尺も無かったし、そこは察してください、と」(ほぼ原文ママ)引用:アニメージュ6月号
目眩がするほどクラクラくるインタビュー。TVシリーズで微塵もなかった恋愛要素を映画になっていきなり組み込んだだけには及ばず、その要素の過程でさえ「察してください」と公開直後のインタビューで話せる荒木哲郎監督の器量の大きさとクリエイターとしての能力の欠如に恐れ入る。
TVシリーズでは一切存在しなかった要素を、どのようにして「察しろ」と言うのだ?
今まで恋愛をしてこなかった作品の視聴者に対していきなり、「オレと視聴者の恋愛観は共有されてるよね?」と突きつけられて物語は始まる。ただ笑うしかない。
ドラマの盛り上がり所ですら自ら投げ捨てていくスタイルを冒頭から見せつけられる映画はこの作品だけだ。

・鰍、謎の恋愛おせっかいキャラクターに
そんなキャラクターでしたっけ?
何の路線変更なんだ。意味が分からない。

・小者すぎて死ぬ小者1、主役に諭されて改心する小者2、小者1·2に虐げられている正義感の強い小者3、による謎の設定で生きている小者衆による連合
この連合、本当に存在理由が無い。
ただ小者をその後の展開で、死ぬ、改心させる、正義を実行させる為だけに動かされている。
ただ設定を活かす為だけに動く小者衆なので特にバックボーンは語られること無く動き回って死んだりする。
本来なら空気になりそうなキャラクターなのに、お粗末すぎて存在感が増している。

・ボスキャラらしきシルエットが3人現れるシーンあるけど内1人は全く出てこない。
映画見終わってから「ボス2人しか倒してないよね?」と思って序盤のボス勢揃いシーンを見たら、やはり3人いる。
あと1人は?
こんだけ煽っておいて、来栖が映像外であっさり倒してるなんて事ない……とは思えない所が恐ろしい映画。

・キャラクターの見せ場がほぼ無し
数少ない見どころは序盤の無名によるアクションシーン。あとは「これをやらせればウケたから、またやろう」という、なんの含みも助走もなく、ただウケた展開を並べたシーンのオンパレード。
菖蒲様は木刀で小者を諌めて終わり、巣刈は主人公のピンチに駆けつけて終わり、侑菜はレバー引く時に背中見せて終わり(本編での黒煙戦で見せたようなマッシブさは皆無)
しかもこれ、生駒は「俺の誇れる俺になる」みたいなセリフは言わせてない。ほ、本当に何がしたかったんだ?

・ストーリーが本当に薄い
本当に本当に薄い。コンドームの方がまだ厚い。
無名は謎に生駒の幻影を見て落とし穴に落ちるし、それで謎のスパイダーマンに苦戦、黒煙はカバネの憎悪エネルギーで構成されている唐突な新設定、肝心の黒煙はトンネルにぶち当たって死、生駒と無名のカバネ変貌衝動は愛と思いやりのパワーでなんとかなること……
本当にキリがない。もう何も言いたくない。

・ヨサコイED
本当に視聴者を舐めている。
「これは視聴者喜ぶだろうな!笑」と思ってやってるのは大いに伝わってくる。
でも、少なくとも、TVシリーズを見て映画を見ようと思ったファンがEDにヨサコイを踊っているキャラクターを見て喜ぶと思ったのだろうか?
時代劇、ゾンビ、スチームパンク、王道少年活劇、無敵ヒロイン美少女、これらに感動した視聴者が、本当に、EDで、何の脈絡もなく、ヨサコイを見たいと思ったのか?


人生でワーストの映画でした。
本当に本当に酷い映画。二度とお目にかかりたくない。
なんでこんなに言うのか。
それはTVシリーズが大好きだったからだ。
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