単なるPOPなティーン・エージャー映画かと思ってたら全然ちがった(物語は序盤ローで一面的に進むけど、中盤から複雑で立体的になってくる)
主人公はエイス・グレード(中三)の女の子ケイラ。
彼女を取り巻く様々な年齢層の登場人物が物語に多様な視点を与えていてその描き方がすごくいい。彼女と同じエイス・グレードの子達、違う学校の子、高校の体験訪問で出会う4歳年上の高校生達、彼女の父親。
彼ら/彼女らとの関わりの中でケイラが自分に自信をもっていく姿、ありのままの自分を肯定していく姿が描かれる。
10代はもちろんそれ以外の世代も登場人物の誰かに自分を重ねることができる(はず)。
在りし日の自分とか、きたる日の自分とか、見守る親の視点とか、十代を懐かしむ今の自分とか。
私はケイラのように自分自身を分析できるような客観性は持ち合わせていなかったと思う。(ケイラのようなジェネレーションZと呼ばれる子供たちはこの客観性をSNSを通じてごくナチュラルに、悪く言えば否応なしに、身に着けているのかもしれないけど)
学校以外の場所に世界があって、そこに自分の居場所を見つけることができれば、希望がみえなくて焦る気持ちは緩和できるし、救われることだってある。悩みを抱える十代の子達がそういう所に導かれることを切に願う。
個人的には、はっきりとNOと言えなかった自分、ジェンダーに悩む自分を肯定してあげれなかった当時の自分が、今の自分に急に近づいてきてぐっと心を刺した。
ケイラに勇気づけられ、スーパークールな父親にほろっとした。
配給はA24、音楽の使い方がやっぱいいです
※観ようかなとおもいつつ先延ばしにしてたけどフォローしてる方のレビューに後押しされた。こういう出会いがあるのがfilmarksの良いところ。