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いつか輝いていた彼女はのmのレビュー・感想・評価

いつか輝いていた彼女は(2018年製作の映画)
3.8
片田舎?の高校に何故かある芸能クラスの中で静かに渦巻く女の子達の嫉妬と苦しみ。
東京の華やかな学校ではなく、片田舎に何故かある芸能クラスというのが何とも精神的にしんどい。たぶん監督が本当にこういうクラスにいたのかな?しんどくなるリアリティ。

ギスギスした感情の切り取り方が細やかで丁寧。
ひたすら女の子達のギスギスした感情と人生の嫌な苦さを切り取り続けて、観終わった後は良くも悪くもこじんまりとした嫌な苦さだけが残る。
作り手が意図してそういう風にしているので成功だとは思うけど、なんというか・・それ以上のものは無いなと思ってしまう。
恐らく監督が表現したかったのは何よりも(かつて自分が体験したのであろう)女の子間の嫌な感情なのだろうけど、せっかく多くの人を巻き込んで映画として表現するのなら、何かもう少しその先を描くべきなのでは?短編でそれを望むのは酷かもしれないけど・・
それでも最後に提示される夢破れた人間の中の重くて黒い感情は受け取った。

茜があれを破壊するに至る感情の段取りは全然足りていなかったので、かなり性急で段取りというかイメージ優先に感じた。


現在のマホの回想で始まったはずの映画が、何故かずっとマホ不在でマホの相方である茜とその周りの友人グループの視点で進んでいく事には大きな違和感があった。
普通の高校の芸能クラスという基礎設定に説明が必要なのと成功した人間の視点が必要なのでマホ視点の冒頭があるのは理解できるけど、その後の構成にそれを活かせていなかった。正直これならあの同窓会?的な集まりを冒頭に持ってきて茜視点で統一した方が良かったのでは?
やっぱりムーラボなのでミュージシャンを出さないといけないという縛りのせいでもあるんだろうけど。でもこの『ムーラボだからこうなったんだろうな』という変なこっちの気遣い、ムーラボ作品の大半に付き纏う。


日高七海の『発声できてないからね』という後輩への叱責はそのままこの映画の俳優陣にも当てはまる。終始台詞が聴き取りにくい。これは俳優達の発声の問題でもあるし、録音・整音の問題でもあるし、こういう『自然体』の芝居をさせる監督の問題でもある。本職ではないmahocatoが一番台詞が聴き取りやすいのは皮肉。日本映画界の色んな監督が陥ってるけど、映画のリアルと実際のリアルを混同するのは本当に良くない。




と、ここまで書いた所でこの作品のページを見てみたら、ちょうど一つ前に別の人が同じような内容の感想を書いていた。被ってしまったけど、まあみんなそういう事を思うんだろうなという事でそのまま投稿します。
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