ShinMakita

影踏みのShinMakitaのレビュー・感想・評価

影踏み(2019年製作の映画)
1.8
真壁修一は、侵入盗で忍び込みのプロ。ある夜、忍び込んだ先で主婦・葉子が灯油を部屋に撒き夫を焼き殺そうとしている現場に遭遇してしまう。咄嗟に葉子を止め、直ちにその家から逃げ出そうとした真壁だが、何故か旧知の盗犯係刑事・吉川に待ち伏せされ逮捕されてしまうのだった。そして2年…出所した真壁は、自分の逮捕劇に疑問を抱く。新聞では、何故か葉子の焼殺未遂も警察の先回りも隠蔽され、葉子が110番通報して捕まったことになっていたのだ。疑問を解くため、出所を待っていた子分のケイジを連れ、葉子に会おうとする真壁だったが、その矢先、吉川が殺害される事件が起きる…


「影踏み」。

以下、ネタバレ踏み。


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横山秀夫は好きな作家ですが、全作読破には遠く及ばないレベルの俺、本作は原作未読の状態でした。それが幸運だったか、かなり楽しめました。確かに山崎まさよしのキャスティングには言いたいことが無いこともないけれど、筋立ては俺の好物だから、嫌いになれません。これ、横山秀夫流のハードボイルドなんですよ。探偵役が探偵でも刑事でもなくノビ師というのが珍しい。第1プロット、すなわち真壁が解き明かす事件の方のファムファタールが葉子。典型的なファムファタールキャラですよ、男を死ぬほど狂わせていくんですから。第2プロット、すなわち真壁自身の過去と現在のドラマの方のファムファタールは久子=尾野真千子。まさに運命の女という位置付けでした。正直作り手は第2プロットの方に注力していて、葉子の描き方が薄っぺらという問題もあるんですけど、実は横山秀夫得意のサプライズトリックは第2プロットの方に仕込まれているからやむなしといったとこでしょうか。

大人の鑑賞に堪えるプロットに、まさかの あだち充「タッチ」+「シックスセンス」という大技も放り込んだ、なかなか侮れない一本。エンディング曲も良かった。
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