ツクツクボーシ

多十郎殉愛記のツクツクボーシのレビュー・感想・評価

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)
4.0
捕り手や役人をただの敵でなく、生活感ある人間として描いているあたりカタルシスありのチャンバラにならない展開は見えている。伊藤大輔らしさというのは御用提灯の群れだろうか?「切られ与三郎」とか?作風が若々しく意外に面白かったことを白状しておきたい。もう少し頭脳プレーがあってもよかった気はするが、寺島進の立ち回りのすり足になんだか感心しちゃったり。話もああするしかないよなというラスト。

なるほど(ナレーションもないし)映画では禁じ手の説明台詞も時代劇では結構目立ちにくくなる。実際こういう説明は時代劇に必須でございまして、往年の時代劇でもあるある。そんなに腐すほどとは思えない。

眼力あり色っぽさもある高良健吾ととにかく可愛い多部未華子を引き立てるという意味で周囲のキャストも一々ちゃんと面白い。また美術面の執念も感じる。それにしてもこの93分という上映時間!本題以外に脇目も振らない潔いエンタメ感が中島貞夫らしさという気がする。
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