岡崎京子の作品は多分制作陣にとっては魅力的な題材なんだろうなぁ。
ティーンエイジャーの揺らぎというか危なさというか、その不安定さと若さゆえの絶対感というか無敵な空間と時間が眩しくなる。
二宮監督自体も20代で、それゆえに同世代で制作された作品にはそのエネルギーが出ている気がする。
物語はグループの中心メンバーだった"チワワちゃん"がバラバラ殺人事件の被害者として発見されたところから。
主人公ミキはチワワちゃんに関するインタビューを受けたことをきっかけにグループのメンバーたちにチワワちゃんの話を聞きはじめる。
色々なメディアで言われているように犯人探しではなく、メンバーに話を聞くと、それぞれの中のチワワちゃんがいることに気付く。
友好的に感じていたメンバーから実はトラブルを抱えていたメンバーまで、作品を通して感じることは"イメージ"として現れるチワワちゃんである。
少し『13の理由』を思い出しながら、"何をしたかったのだろう"と問われたチワワちゃん像が観客にも問いかけられる。
チワワちゃんを演じた吉田志織さんがハマり役で、オーディションで選ばれたと聞いて納得!
本当に、なんだろう、この作品のチワワちゃんには説得力や眩しさが宿っていて、彼女の破天荒だけれど実はしっかりしている、みたいなバランスが魅力的。
それを観客と見つめる門脇麦のミキもまた良い。役作りかわからないけれど、ちょっとした肌荒れ具合がリアルで、チワワちゃんに対する意識が表情や間で示される。
実際チワワちゃんの内面が描かれることはなかったように、表面でしかすくいとれないイメージに対峙する感覚の切なさ、実感。
私たちもまた映画のイメージを通してしかチワワちゃんを知ることができないけれど、様々な場面で様々な一面を持っている人間の姿に改めて気づかされるとも言える。