夜空のパンケーキ

ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間の夜空のパンケーキのレビュー・感想・評価

3.7
木村文乃、尾野真千子、鈴木梨央、3名の監督さん、透明人間のままのオダギリジョーの舞台挨拶付きで鑑賞。

冒頭は「ポノック短編劇場」のオープニングでヨーロッパのミニ遊園地のような映像に木村カエラの音楽に乗せて始まります。
3つの短編映画。

『カニーニとカニーノ」(米林宏昌監督)
小さな2人のサワガニ兄弟が川の中を冒険する。そこから見える世界は大きな魚や岩場など危険なものばかり。
カニーニの声を演じた木村文乃が話してましたが、人間の見る世界とサワガニから見る世界はこんなに角度が違うんだと。
確かにそうだ。
僕たちが生きている社会も見方によっては生きやすくも生きにくくもなるのかもしれない。
広い視野と小さな勇気が大切だと感じさせてくれる。ただ話は単純で普通です。

『サムライエッグ』(百瀬義行監督)
これが一番良かった。というよりこれは大人向けの作品かもしれない。
卵アレルギーの少年シュンと彼を守る母親の物語。
アレルギーが出て勝手な行動をしても母親は「よく頑張った」と褒める。責めるだけが親じゃない。
卵アレルギーもいつかは治るはず・・・いつか卵を食べられる日に向かって進む親子の姿が微笑ましい。
関西弁の母親を演じた尾野真千子も素晴らしくぴったりだった。
まだ完成していない状態でアフレコをしたらしい。それに合わせてアニメーションをつけていくというやり方だったそうです。
ひとつ気になったのはなぜアレルギーに敏感な母親があのアイスを冷蔵庫にいれていたのかなって。

『透明人間』(山下明彦監督)
透明でなくても人の姿は「目」で見るものではないんだという深いテーマが響く。
もっと内面を見なきゃ人間の本質は見えないものだ。
ここで出てくる透明人間も人からはスルーされて生きているが、盲目の人にはその姿がしっかり見えるのだ。
基本的にずっと暗い背景が続く。これは山下監督曰く、彼の心情を表しているらしく明るい気分になった時のインパクトをつけたかったそうだ。
途中に2回ほど明るくなるそうです(気づかなかったですが・・)。これから観る方はぜひそこに注目してください。

一つが20分弱ですのでとても観やすく、どうれか一つは好きなタイプの作品に出会えるはずです。
そして浴衣姿の木村文乃と尾野真千子が綺麗でした〜笑