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騙し絵の牙のmarcyのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
3.5
オンライン試写会で観させて頂きました。
出版業界を舞台にした本作では大泉洋演じるカルチャー誌「トリニティ」の編集長速水が同じ社内でも一階上(ヒエラルキーも上)の文芸誌「薫風」の派閥に負けないため奇抜でいやーな手を使い廃刊の危機にある「トリニティ」を編集(プロデュース)していく。
速水は飄々としながらも狡猾で抜け目ない人柄で大泉洋さんを当てがきして原作が書かれたにも関わらず監督から「大泉洋が出すぎている」と指摘されたというエピソードにも納得がいった。素の大泉洋さんは某どうでしょうな番組にもあるように騙されやすく素直でサービス精神旺盛な方だからである。
登場人物が多いが豪華な役者陣や構成のおかげでスムーズに作品に入り込むことができた。
しかしスムーズすぎてすこしあっさり終わってしまったという印象はある。
松岡さん演じる高野が実家の小さな書店に取次というシステムにより自身が編集したにも関わらず雑誌が少数しか入荷されない時のもの寂しさなどの感情の機微の部分のシーンがもっとあるとよかったように思う。

電子書籍の波やSNSの影響でより視覚的直接的な宣伝がウケるシーンなど本が好きな人間としては時代の変化に適応するか対抗するかの静かな闘いが出版業界であることを知れたのは面白かった。
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