ノラネコの呑んで観るシネマ

騙し絵の牙のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
4.6
原作未読。
けっこう変わってるらしいが、非常に面白い。
出版社を舞台にした、老舗雑誌のリニューアル劇。
しかしそこには、会社の主導権争いの権謀術数が絡み合う。
大泉洋の編集長はトリックスターで、物語的な主人公は松岡茉優演じる、文学と本をこよなく愛する若手編集者。
冒頭の描写が象徴する様に、誰もが自分が手綱を握っているつもりで、実際には他の誰かに走らされている。
それは例え“フリー”であることを標榜する人でも変わらない。
単純な地位の優劣ではなく、組織や業界の中で、誰がグランドデザインの主導権を持っているのかが重要。
それでは、今の社会で誰かに走らされない生き方は出来ないのか。
主人公の最後の選択にも考えさせられた。
一見希望的に見えるけど、あれ色々犠牲になってるものが多すぎるよね。
資本主義社会の中で、自由に生きようとすることがいかに難しいのか。
裏読みしたくなる力作。
ブログ記事:
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