ふじこ

HANDIA アルツォの巨人のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

HANDIA アルツォの巨人(2017年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

勝手に[ ビッグフィッシュ ]とかそれ系のファンタジーに属するやつだと思って観始めたけれど、そんな事はなかった。
これは多分、余韻を感じるための映画だったんじゃないかなと思う。

父によって即決され戦争に出され、色々あって終戦から3年後に家に戻ったら弟が巨人症を発症していた兄と、その弟を見世物として興行に出るお話。
お互い思っている事は言葉にしないのに、でも伝わってしまっているような、微妙な関係性がなんだか暗い雰囲気で描かれる。
生きていれば誰しもコンプレックスは抱くものだと思うのだけれど、それが兄弟となると更に拗れてしまうんじゃないかなぁ…みたいな物悲しさがあって、明るいシーンが全然ない本作同様なんとなく鬱々とした気持ちで終わる。

きょうだい、と一口に言っても、姉弟、兄妹、兄弟、姉妹、いろいろなパターンがある訳で。
わたしは姉妹に属するので、その他のパターンがどのような関係性を築くのかは分からないけれど、兄と弟はなかなか想像が難しい。父と息子、もまた難しそうだけれど、それとも少し違うんだろうと思う。
夫は兄弟に属しているけれど、何年も平気で連絡を取らないし、姿かたちも全く似ても似つかない。その上性格も結構違うみたい。
それでも、"親父"を語る時と、"兄弟"を語るときの微妙な違いはなんとなく分かる。
男の人にとっての父親はきっと超えるべき目標としての存在で、それでも折々で敵わないなぁって思うような存在で、多分きっと偉大なんだと思う。
けれど兄弟となると、それこそライバルのような、でも何処かで認め合うようなまるで戦友とかそういうのみたいだなぁってそっと思ったりもする。
全部のパターンに共通するのはきっと昔々にやった"あぁバカだったなぁ"って思えるような下らないのに何故か愛しい思い出を共有しているところくらいかなぁ。

でもそんな思い出って、後から作る事は絶対に出来ないからたまに思い出して、たまに語り合って笑って、もっとそういうところを大事にしておけば良かったのになぁって思う。
ふじこ

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