カバディダック

旅のおわり世界のはじまりのカバディダックのレビュー・感想・評価

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
4.5
面白かった!! ウズベキスタンの風光明媚な街や自然と、路地や地下道が過剰に不穏に感じられる旅行者の不安さとサスペンスを合わせたスリリングな演出と、日本のバラエティ番組の海外での傲慢さなど現代日本の風刺と、主人公への真っ直ぐと意地悪を行き来するような視線とが共存する映画。こんなの撮れるんだ…すごい。

近年ちょくちょく話題になってる日本のバラエティ番組の海外での振る舞いの傲慢さや(存在が幽霊みたいに描かれる)日本の恋人とLINEばかりして目の前の人たちを見ようとしない主人公の閉じられ方を通して他者理解について描いたり、ディレクターや主人公が薄っぺらい仕事で忙殺されて心が死んでたり、東日本大震災を想起させるシーンがあったり、現実的で凄く刺さるところが多いけど、サスペンス映画みたいなスリルがありミュージカルでもある。そして、脆弱で浅はかにも、何かに取り憑かれているようにズンズン進んで不気味にも、華奢でかわいく美しくも見える前田敦子も面白い。

これからも日本でこういう豊かな映画が作られますように。