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旅のおわり世界のはじまりの3Dメガネのレビュー・感想・評価

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
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※ネタバレあり
※以下主張は全て個人の考えに過ぎません
『旅のおわり世界の始まり』
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【テーマ】
[景色の再定義]
道に迷う女性の再出発までを描いたと思う
タイトルにある“旅”軸なき放浪であり、
目的意識を持たず時間を過ごすことを表す
“世界”とは、人生の目的を再認識後、
見える景色を指す。
自分の心にあった願望は、多忙の中で
抑止されてしまう。
そして気づいたら、迷子になっている。
道もわからないウズベキスタンを放浪する
様は、意志なき人生を歩むことの比喩だ。
ただ目の前で起きる出来事に、反応しているに過ぎない。
だが最終的に、彼女は活路を見出す。
恋人の死の予感から、生への実感を取り戻す。
自らの声を開放し、現実に意味を与えていく。
“旅”が終わり、“世界”が始まったのだ。
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【鑑賞ポイント】
[仕事]
世界ふしぎ発見やイッテQのような海外調査番組が舞台の今作。
カメラが回れば爛漫な表情を演じ、
カットがかかれば世界に壁を作る彼女。
我々が普段見ている世界は、彼女らの
現実のほんの一部分でしかないことに気づく。
現地料理の食レポの場面では、
メディアというフィルタを通した映像が
リアルとはかけ離れた創作物であることを
再認識する。
自分に嘘をつくかのように、
カメラの前で嘘をついていた。
演出と現実と感情が混合する中で、
露頭に迷っていく様を描いていた。
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【まとめ】
アイドル時代の記憶が鮮明な彼女だからこそ、人間の持つ二面性を体現できたと思う。
異国の地で彷徨う彼女の様子は
恐ろしく、常に何か危険な事態が起きないかとビクビクする。
そんな危険な旅の中で、迷ったからこそ
出逢えた場所や解釈がある。
今の現状を見つめ直し、自分の現実と
照らし合わせながら鑑賞できる一本。
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