ルサチマ

若おかみは小学生!のルサチマのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
3.9
プレストン・スタージェスの「七月のクリスマス」みたいなシーンがあった。

幽霊映画としてはオーソドックスだが、鬼という存在を出してきたのは面白いと思いました。
鬼は幽霊たちと違い、ショッピングモールに出かけることはなく、ラストシーンでも幽霊と鬼は切り離されて描かれます。
幽霊たちの行動原理としては子供らしく「イタズラをする」ことと「おっこを見守る」ことがある。
対して鬼は「旅館にとってある意味迷惑な客を呼び寄せる」というものだ。
そして鬼はラストにおっこが一番呼んで欲しくない客さえも招いてしまうのだが、おっこは持ち前の純粋無垢さによって、ひたすら鬼が招く奇妙な客を受け入れ続ける。
寧ろおっこは鬼の迷惑な行動に対して「お客さんを呼んでくれてありがとう」と感謝さえする。
この瞬間、鬼の役割は「おっこに死の恐怖を克服させる」ことへと変わる。
鬼が招くのは「母親を失った息子と父親」、「男にフラれたことで断食=死に向かう占い師」、「事故で生死を彷徨った父親」である。
そしてその都度おっこは両親の幻影を思い浮かべるわけだが、目の前のお客様を助ける(お客様を助ける手段として全てに当てはまるのが、食べ物=生命力を与える行為)ことで死を克服し続ける。
最後に敵対してきた別の旅館の娘ピンフリと神楽を舞うことで、幽霊たちと遂に決別して大人になったおっこは、ここで完全に死を克服する。
幽霊と鬼は切り離されて描かれながらも、役割を果たした鬼の姿も、おっこの立つ舞台からは最早見えない場所にいた。


バナナマンの設楽統が演じるキャラクターが、かなり設楽統の声でビックリしました。
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