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若おかみは小学生!のKUDOのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.6
『茄子 アンダルシアの夏』の高坂希太郎監督の新作がある事を、一昨年くらいだったかに友人のRTで知る。原作は青い鳥文庫、もちろん未読。
映画公開よりTVシリーズが放送されるとあり、朝の15分番組を録画視聴して、キャラクターや世界観は予習してみる。
両親と死別した主人公が祖母の経営する旅館で、旅館に住み着いている幽霊達と触れ合いながら若女将修行をするライトな児童文学作品なんだと理解。
まあ、TVシリーズは監督も違うし、劇場版とは資金繰りも違うからなぁ…と思っていたら、劇場予告を見てビックリ!! ヤバイ!これは子供向けキャラクターの皮を被った作画アニメじゃないか! 予告で使用されてるカットですら眼を見張る物がある! 劇場で見ないと絶対に後悔すると感じました。

公開初日は仕事の都合で断念。
いつ観に行くか迷ってたら、有楽町マルイ8階で原画展が開催されている事を知り、ネタバレ覚悟(笑)で日曜日に観に行くと……アニメで言うところの原画の展示では無く、高坂監督のイメージボード原画や背景原画が! しかも撮影OK!!
本作品を観る前に予習し過ぎましたが、翌月曜日にレイトショーにて鑑賞。

時間出来たので追記。

SNSの評判通りに凄かった!
登場人物の個性と表現、対人関係などが無駄無く丁寧に描かれ、冒頭の楽しそうな雰囲気の直後にアレですから、こちらまで心臓バクバクでした。

主人公のおっこが完璧な出来る子ではなく、素直な普通の女の子だから良かったのかな。

少々尺の足りなさを感じた部分はあれど、深く掘り下げた部分やストーリーの流れも良く観客の妄想する余白も有り、そんなに長い作品では無いのにとてつもない充実感があった。

そして何より凄いのが作画!!
眼鏡の屈折表現、アングルの取り方、包丁の写り込み、背景の奥行き表現と印影のバランス、アニメーション技術的に見ても、決して子供向けには作られていないと思います。
この『手を抜かなさ感』が凄いです!

メインの声優さんたちも、凄く馴染んでいて浮いた感じがしなかったのが嬉しい。
旅館のお客様に若干の浮いた感じが有りましたが、メインじゃ無いので許せるレベル。

SNSでの口コミ効果もあってか、都心での上映環境が大人向けにシフトしてくれたのも嬉しいですね!
もっともっと多くの人に見て貰いたい作品です。
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