ゆ

若おかみは小学生!のゆのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
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本当にこれでおっこは救われたのかなぁ?と終わった後もモヤモヤしてしまった。
おっこがおもてなしした相手が、両親を殺してしまった運転手だと知って逃げ出すシーン、おっこはグローリー・水領と車の中で話すけど私はあそこで
「別に人から必要とされなくても生きてても良いんだ。誰かに必要とされることだけが生きてていい理由ではない」ということをおっこの友達であり、理解者であるグローリーから伝えてほしかったんだよな。
「泣いてちゃだめだよね、若女将だもんね」(台詞曖昧)に対して「うん」じゃねーんだよグローリー。お前には期待していたのに……。

おっこは若女将として、誰かに必要とされることで自分自身の居場所を作ることにしたけど、それは本当の救いでは無いと思う。
結果、おっこは両親の死というトラウマを乗り越えたように見えたけど、彼女は若女将として生きることを選び、おっことしての感情を捨てただけで何かのきっかけでまたトラウマは再発しそうな気がする。
めちゃくちゃ泣いたけど、感動というよりはおっこがあまりにも可哀想すぎて辛くて泣けた。

登場人物にも全員悪意がないのが嫌だ。
両親を亡くしたばかりで身寄りがいない小学生に対して若女将になることを強いるデリカシーのかけらも無い幽霊、なりたいと思ってなったわけでもない若女将なのにプライドだのポリシーだのを説いてくる高級旅館の娘、まだ来たばかりで不安であろう小学生の女の子を働かせて「躾がなっていないもので」と旅館の客に紹介する唯一の身内であるおばあちゃん。
全員悪意はないけど、「おっこを思って」のことだったらそれは許されるのか?むしろ、悪意があった方が気持ち的に救われるような気がするよ。責める相手がいないって辛すぎるもん。
両親を失った小さい子供に対してみんなが何もなかったかのように接してくるのがなんか怖いんだよなあ。
おっこが両親以外のことでは泣いたり感情を出したりしないのもすごく気になる。
向かってくる車を見るだけでフラッシュバックしちゃうくらいのトラウマ抱えてるのに、それを相談できる人間が周りにいないように思えるし。

一度、精神科の先生に見てもらおうよ、おっこ。
解決できるかどうかわかんないけどさ……
ゆ