映画評価:55点
能天気で明るいだけのサカモトが泣くのは反則だ!
もらい泣くしかないじゃないか。
日々、下を見続けてきた男が見つけたのは
《一冊の本》
その本を開いて読んだ事からこの物語は始まる。
余命宣告された男が
残された時間を一生懸命生きる類いの
よくある話しなのだが
私は少し違う風に捉えた。
それは、
命とは長さでも密度でもなく、
何をなすのか?
そう訴えかけられている気がした。
作品の売りとしては、
残された短い命が
線香花火の様な儚さに感じ
美しくて、切なくなる。
そういうやつなんだろう。
でも、きっとこれは
残された時間が短い人にあてたものではなく、
長い可能性がある人に向けたものだとしたら、
何を伝えたかったのだろう。
私は作中に出てきた
『毎日に夢中だから息する事さえ忘れてるんだ』
が引っかかっている。
それはsnsに夢中?、それは仕事に夢中?
それはゲームに夢中?
きっと私たちは死ぬまでの暇潰しに夢中なんだろうと。
特に死ぬ理由もないが、
何を成せば良いのか分からない人にとって、
その命の終わりまでの暇潰しが必要で、
命の長さを保つ為には生活しなくてはならない
だから仕事している。
せっかく生きているのに、
何のために息しているのか分からない
でも、余命が決まっていれば
残された時間で出来る事をやるのだ
この作品では、アナタと朝日が見たい
になる訳だ。
下ばかり見ていた男は
最後には空を見る様に変わっていた。
きっと何かを成して満たされたのだろう。
では、長いかどうか分からないが
この残された命を使って、私は何をなせば良いのだろうか?
何を成せば満たされるのだろうか。
【2021.2.9観賞】