いつ人を刺し殺してもおかしくなさそうな森口瑤子が仲村トオルと松岡俊介の二人のダメ男を理性で説き伏せようとするので観てるこちらとしては混乱する。ほんとのことを言っているようで、嘘をなめらかに言っているようにもとれて、もう後者なら完全に自覚的にやっているはずで、そうなるとファムファタール的な、末恐ろしいものを感じる。「接吻」での小池栄子はその狂気が分かりやすく最後に発露するけども、この映画の森口瑤子はそれがないので、怖い。室内での会話で映画をもたせるには人物をあちこち移動させればいいと学んだ。途中、森口瑤子と松岡俊介がソファと床に交互に立って座ってを繰り返してて、面白い。ずっと不穏だし、ずっと画面は青い。
