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毒戦 BELIEVERのkakakaのレビュー・感想・評価

毒戦 BELIEVER(2017年製作の映画)
4.1
韓国の麻取が顔さえ分からぬ最強の麻薬ディーラー、通称「イ先生」の検挙を目指し、大胆なアンダーカバー作戦を展開するノワールムービー。
とは言いつつも、この謎のカリスマ「イ先生」だが、誰が見ても正体は明白なのだ。しかしこの映画の肝は、謎解きではない。
正体が分かっていても、手を伸ばさずにはいられない、救いを求めざるを得ない点にこの映画の毒性がある。
この毒と分かっていても手を出してしまう、という部分が本当の麻薬とダブルミーニングなっている構造にグッとくる。
謎解は早々に退散して白けるかと言えばさにあらず。
むしろ分かっていても、主人公たち麻取チームが右往左往し、欺かれ、窮地に陥る姿を俯瞰で見る感覚が、やがて彼らに感情移入し、すでに毒が回っている事に一緒に悶えるのだ。
ストーリー部分でかなり許容しなければならない点はあれど、それでも最後にはケレン味の高みへもっていってくれるのは流石、韓国映画。十八番の湿度のあるバイオレンス描写、キャラクターと演技の説得力の成せる技。
ブライアン理事のラボで働く人達がマスクを取ると10代の少年少女、という部分も韓国の格差社会を揶揄しているようにも見えた。
ラストの切り方も寒々とした雪景色を背景に、余韻が残って良い。
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