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ビリーブ 未来への大逆転のKUBOのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.8
3月4本目の試写会は「ビリーブ 未来への逆転」。

1970年代アメリカ。世紀の〈男女平等〉裁判に挑んだ、女性弁護士の爽快な感動実話。

…というチラシの宣伝文句から期待する通りの作品でした。

主人公、フェリシティ・ジョーンズ演じるルースがハーバード大学の法科に入学した1959年には、まだまだ大学も法曹界も女性には狭き門。成績は優秀ながら弁護士として雇ってくれる事務所はなし。

ルースは大学教授として法律を教えながら、いつまでたっても「女性は家庭にいて子供を育てていればいい」という変わらぬ男性中心社会の変革を夢見ていた。

そこに舞い込んできた訴訟の事例がおもしろかった。女性じゃなくて男性が差別された話だ。女性には適用される、家族を介護した場合の控除が、男性には適用されないという。ルースは、このケースを「男女平等」への足がかりになると考え、勝訴は不可能と思われた裁判の弁護を始める。

ほんの50年前には、女性はクレジットカードを持てなかったとか、びっくりする。表面的にせよ男女平等の体が成り立ったのも、つい最近のことなのだ。

弁護士仲間が集まるパーティでも、男たちは法律論を語り、奥様方はいわゆる「サロン」で世間話に花を咲かせ、どちらにも入れないルースの姿に当時の先端を行く女性の生き辛さがよく表れていた。

そのルースを助ける夫役のアーミー・ハマーがいい! 背が高くて、ハンサムで、妻以上に賢くて、料理までしてくれる。ちょっと出来過ぎだけど、こんな旦那さんがいたら女性は最高だろうね!

クライマックスとなる裁判劇は、下手を打って追い込まれる時と、ズバッと逆転するときの演出がハッキリし過ぎていて深みには欠ける気もしたが、期待通りスッキリできる。

実在の人物であるルース・ギンズバーグは、この裁判を足がかりに、次々と男女差別に関わる訴訟を手がけて勝ち続けたという伝説の女性。

現実社会ではまだまだ名目だけではあっても、ここまでの女性の社会進出をリードしてきた先駆者の活躍は見ていて清々しい。

終映後、試写会場には拍手が起こった。



*原題は「On The Basis of SEX」。直訳すれば「性に基づいて」。直訳じゃあ客が入らないだろうと考えた苦肉の邦題だろうが「ビリーブ」なんて全く関係ない。「ドリーム」と並ぶトンチンカンな邦題だ。
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