えな

ブラック・クランズマンのえなのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.1
アフリカ系アメリカ人とユダヤ系アメリカ人の刑事がタッグを組んでKKKに潜入し…という潜入捜査モノ。

痛快クライムエンタメ!っていうキャッチから、ブラックジョーク満載のコメディより作品かと思いきや、実際はアメリカの根深い人種差別問題について真摯に問題提起する社会派ドラマだった。
肌の色は「白」だけどユダヤ人もKKKの激しい憎悪の対象になっている、というのを恥ずかしながら、この映画を見て初めて知ったよ。KKKの成り立ち考えればそりゃそうか、という感じなんだけど。
そういった様々なアメリカの人種差別問題について知ることができ、考えることができて、見てよかったと思える作品だった。

作中ちらっと出てくる、黒人が集団リンチされ酷い手法で殺害された写真…おそらくこれは本物の記録写真だよね…
また銃弾を撃ち込まれた射撃の的(黒人の特徴を戯画化した形)を眺めるロンのなんとも言えない表情…
見ていてやるせなくなる、でも印象的なシーンがたくさんあった。

同士でありながら女性はKKKの集会での会話に加わらせてもらえなかったり、白人男性に栄光を!あ、白人女性も、と付け足しのように言われるシーンなど、KKKにおいては女性も1段低いところにおかれているらしき描写なんかもあり、私は女なので色々とモヤモヤしてしまったり。

と、社会派メッセージはふんだんにもりこまれながらも、潜入捜査モノお約束の、黒人&ユダヤ人でありながらKKKの幹部たちを欺いて信頼を得てステップアップしていく痛快さや、正体がばれやしないかっていうハラハラ感なんかも感じることができて、エンタメ作品としてもとても楽しめた。
 




_________ここからすこしネタバレ_________

ラスト5分、急に違和感のある効果が挟まれるな…と思いきや…
なるほどそういうことか。。。
この作品は40年くらい前の時代が舞台だけれど、あれからどれだけこの世界は変わることができたのか…

女性を暴行してると勘違いされたロンが、全く言い分を聞いてもらえず、白人警官たちに地面におしつけられるシーン、BLM運動の発端となった、警官による黒人男性殺害事件を思い出してしまった。。
だけどこの映画は2018年公開だから、あの事件より前の作品なんだよね。
昨日今日起きたことじゃない昔からずっとずっとあったこと…
見終わったあとなんとも言えない苦味を感じるけれど、それでも見れてよかったと、そう思える作品でした。
えな

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