やまだ

ブラック・クランズマンのやまだのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
3.9
エンタメ的「社会の教科書」

差別シーンは全編にわたって繰り広げられる
今の感覚だとかなりハードだと思う
ユーモアのある演出で和らげてるけど、個人的には所々心臓が痛くなって泣きそうになった
豆腐メンタルなので

作中の差別や優生思想
断片の憎しみから生まれる「正しいのに歪んだ」発想
そして民族、団体、思想の枠組みによって結束した人達の熱量は「抑圧からの開放」と名付ければ聞こえはいいけど
ブレーキの壊れた車のような危うさや恐怖があって
作中のそれらは今の社会にも通じるような示唆に富む表現だったと思う

実際に起きた事件の写真や映像が用いられてるのでショッキングなシーンもある
コメディとか言っててもテーマがテーマなだけにとても社会派な印象

このタイミングで映画が作られて公開されたのは意味があることだと思う

「多様性」を求める社会が段々と揺らぎ始めて、今まさにKKKのような状況が生まれつつあるわけだし

特にラスト数分の畳み掛けには強く訴えかける物がある
怒涛の畳み掛けだから圧倒された

たった一言だけど人間の本質だなぁと思ったセリフがあった
「警察の中にも悪くない人はいるよ」
「(悪い人が)一人いれば十分」

全体から見たら一つの些末な事件でも
当人からすれば人生を揺るがす大問題
やまだ

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