気持ちいいくらいに毒々しい。
「KKK」という目を惹く字面と、差別主義秘密結社というインパクト。そこに黒人警官が潜入するという面白すぎる設定。それに留まらず、カトリック、WASP、ユダヤ人などの宗教対立も盛り込み、さらにはラストシーンのぐうの音もでないリアリティ。映画としてのサスペンス要素の楽しさも保ちつつ、社会風刺もバチバチに効かせた痛快作であった。
黒人警官が悪徳な白人を懲らしめるという大枠がありつつも、どちらに優劣をつけきらない演出も良かった。KKKの集会と黒人集会が交互に映し出される終盤のシーンや序盤のクワメトゥーレの演説シーンはどこか「どっちもムキになっている」様な印象すら受けた。対照的にロンは終始クールに描かれ、事件後に署内で人種に捉われず笑い合う睦まじさこそが、人種争いの終着点なんじゃないかと思った。
そして何より『グリーンブック』で抱いた不完全燃焼感を拭ってくれ、劇中の「最近の黒人映画はファンタジー」というセリフにはスパイクリーの強い語気を感じざるを得なかった。
