Sumi

ブラック・クランズマンのSumiのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.2
差別は黒人と白人だけの問題ではない。アダムドライバーが演じていた白人のフリップはユダヤ教徒で、KKKから差別の対象にされている。
近くに住む同じ民族間でも偏見を持っている。
日本人はこの映画の「差別」という題材を違う国のこととして見ていないだろうか。

私の小さな経験で、飲み会で出身地について馬鹿にされたことがある。出身地の「県」なんていう一つのくくりで人を馬鹿にしてくるなんていうアホみたいなことが信じられなくて、最初は冗談だと思って笑った。しかしその人は私の出身地を「何もないところ」と馬鹿にし続けたのだ。住んだことがあるかと聞いたら行ったことはある、という。なんだそりゃ、何も知らないじゃん。その人は私がその県でどんな生活を送ってきたかも全然知らない。

とにかく、こういう小さな範囲でも人は自分の気持ちよさのために他人の優位に立とうとしている。それが”国を守る”などという”大義”と結びついてしまったらどうだろう。
映画のセリフでも出てきたように、今は偏見をダイレクトに示すのはクールではないが、何か政治的な理由をつけて偏見を持ち続けている。とても恐ろしいことだと思う。権力の意見に従うのはとても楽であるから。

映画内の差別的なセリフを聞いているととても嫌な気持ちになって、それは違うと叫びたくなる。叫びは届かずストーリーは進み続ける。事実を伝えても全く届かない現実世界を疑似体験しているような感覚になった。
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