城岩いと

ブラック・クランズマンの城岩いとのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.5
アメリカにおける人種差別問題など日本人の立場から語ってはいけないという反面、少しでも理解しなくては、という葛藤からこの手の映画を観るのだが、この作品を見終わったあと〝アメリカで黒人として生きる上で感じる空気〟というものを、少し理解できた気がした。

グリーン・ブックとよく比較されるようだが、問題の切り取り方や、その傷口の深さがまるで違う。同じ問題を扱っているが、同じ目線で考えてはいけない気がする。

KKKの思想は笑えるくらい支離滅裂だ。

でもブラック・パンサーも好戦的なような気がして、問題を肥大化させているように見える。

暴力では何も解決できない。
血で血を洗う、という表現があるが、血を洗ったその血に重なるのは、より若い血でしかない。

歴史がそれを証明しているのに、延々と人は同じ過ちを繰り返している。いまは21世紀で、2020年。誰もが携帯する端末から言葉を発せられるし、テレパシーのように意思疎通がとれるのに。

この映画の結末で信じがたいのは、テロップで流れる年号と日付。

とにかく酷い。
むちゃくちゃな話だ。


この作品で、また映画の持つパワーを感じられた。
監督、出ている俳優たちは本当に良かった(なかでもアダム・ドライバーの虜になってしまった)。
本当に勇敢だと思う。

さらに音楽も最高。
繰り返し観るに値する作品だ。
城岩いと

城岩いと