MURANO

ブラック・クランズマンのMURANOのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.1
“黒人のKKKの男”という意のタイトルの時点で、白人による差別意識を皮肉いっぱいに挑発してる感が伝わって痛快。

KKKのお偉方さんが、黒人警官と電話で話しただけで、KKK入会を認めちゃうんですよね。「話し方でわかる。君は完璧な白人だ。」って(笑)

そんなわけねーだろ、バカじゃねーの!?ってのが、スパイク・リーが込めた究極のおふざけで痛烈だなと思いました。

実は、観る前はもっと硬派なテイストで進むのかなと想像していたのだが、KKKへの潜入捜査というサスペンスによる緊張感は切らさないまま、思ったよりポップな作りで、社会派要素を抜きにしても娯楽として非常に楽しめた。

ブラックパワーとホワイトパワーが重なり合うクライマックスに向けて、2時間を越える上映時間を考えると、体感時間はものすごく短く感じたほどでした。

社会派要素に関しては、スパイク・リーとジョーダン・ピールが製作の黒人映画であることは間違いないのだが、主人公の立ち位置含め、かなりフラットな視点で語られてることも興味深い。

その冷静な視点によって、黒人が権力を勝ち取る映画じゃなくて、KKKが台頭してた頃とトランプ政権下の現在は大して変わっちゃいない、というのが浮き出てくる映画になっていた。

痛快さの中に見える恐怖。昨今の映画、この視点の鋭さが光るものが面白いですよね。

あと、後で知りましたが、KKKメンバーの中でやたらキレキレのスティーブ・ブシェミ似の役者さん、マイケル・ブシェミという名前でなんと弟さんでしたね…。

ごめん、どう考えても彼がこの映画のベストアクト。ヤバすぎる(笑)
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