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存在のない子供たちのtaominicocoのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.5
いい映画だと聞いていたけど、子どもが親を訴えるという内容が重いなぁ、耐えられるかなぁと、なかなか観る気になれず。。。
やっと重い腰を上げました。

ブラジルのファベーラを描いた『シティ・オブ・ゴッド』のようなリアルさ。しんどい。


シリアの貧民街で暮らすゼイン一家。ゼインは一家の長男で、短気だけど妹想いのお兄ちゃん。一家はとにかく貧しく、水道管が破裂するようなボロボロのアパートにギュウギュウ詰めで暮らしています。

近所で商店を営むアサード(20代か30代前半)は、ゼイン一家を何かと気にかけてくれていますが、それには裏があり、妹のサハルを嫁にもらおうと狙っていました。
妹は初潮を迎えたばかりの11歳。
親は生活のためにと、嫌がる妹を無理やり嫁がせてしまい。。怒ったザイルはついに、家出をしてしまうーー。



家出してからの話はネタバレになるので詳しく書きませんが、ゼインはストリートチルドレンになります。運よく移民女性が保護してくれますが、彼女と彼女の赤ちゃんと過ごしたほんのひと時だけが、ほっこりパート。
ゼインは12歳の子どもの顔に戻っていました。

その後の展開は、文章にするのも辛い。
ゼインが必死に赤ちゃんを守ろうとする姿に、ずっと胸が張り裂けそうでした。


今も世界のどこかで、ゼインのような子どもが、犯罪に巻き込まれたり飢えで苦しんでいるんですよね。
観賞後、タイトルの「存在のない子供たち」の重みがずしんときます。


ちなみに、ゼイン役を演じたゼイン君(ややこしい)も同じような境遇の子だったのだそうです。本作の出演をきっかけにゼイン君の一家は国連難民機関の助けを借り、今はノルウェーに移住しています。

学校に満足に通ったことがなかったゼイン君ですが、今は学校にも通え、幸せに暮らしているという後日談だけが唯一の救いでした。


「世話できないなら、産むな」って言葉、子ども言わせちゃダメだよなぁ…。
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