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存在のない子供たちの太のレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
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胸が苦しくなるような話なのに、自分の心はただなんの揺らぎもなく、そして、2時間強を唾すら飲み込まずに見入ってしまった。正直、難民問題については恥ずかしながらに詳しい知識もなく、インドネシアで物乞いする人が身近にいても同情も何もなく、心を閉ざして接していた。ゼインが裁判で両親に対し、自分を産んだ罪で訴え、望むことはもう子供を作らないこととしたところ、十何歳にして彼の達観性に驚くのと、そこまで達観させてしまう社会の残酷さにも嫌気がさす。私利私欲に溢れた嫌な匂いのする社会を、強者が弱者をナニモノとも思わない社会を、奪われ失い持たない者たちが這い上がることのできない社会を僕たちは特権を理解して変えていくんだよ。
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