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存在のない子供たちのProconのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.3
社会の中で子どもが置かれた痛々しいまでの脆弱性さ、それと同時に親への怒り、悲しみ、弱いものへの愛情など叙情的に描いた佳作。レバノンのベイルートのスラム街が舞台で、移民問題、貧困、虐待、児童婚など悲惨な社会の様子を子どものまなざしで写し取っている。「生まれて来なければよかった」というだけにとどまらず、自分を存在させたことを罪として親を告発する主人公の憎しみの声が胸に迫る。ラストシーンの演出も、彼がいちども気遣われ愛される者として描かれていなかったことに気づかせる効果的なものだったと思う。
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