うめ

存在のない子供たちのうめのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.2
観る側がつらくなる、重くて暗い映画と想像していた。そういう部分もあるが、それだけの映画ではなかった。ぜったいにこの映画を作って世界に伝えるぞー!という監督や出演者らの並外れたエネルギーと情熱と使命感に溢れた熱い作品だった。どこまでもまっすぐな思いが伝わってくる。
かつてデシーカ監督は「自転車泥棒」で戦後の貧困にある庶民の不条理な現実を鮮やかに切り取ってみせた。「存在のない子供たち」はまさに21世紀の自転車泥棒と言っていい。
自転車泥棒と大きく違うラストには賛否があるかもしれないが、
僕は監督の、決して諦めない強いメッセージを感じた。
全世界の誰もがゼインを支持し、なぜ彼やその家族が追い込まれなければならないのかと自然に憤りを覚え、鑑賞後に自分に何ができることがないか探したくなる。
イデオロギーも世代も民族もない。
すべての人にテーマがストレートに伝わる。
こういう映画は滅多にないので頑張って見た方がいいと思う。
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