世界への絶望と悲劇を少年目線から語るドキュメンタリーのようなリアリズム。
「心がないのか」「子供を産むな」「僕を産んだ罪」と言う12歳前後とは思えない据わった少年の目が忘れられない。出生届も戸籍も自分がこの世界に存在しているという証明が何一つないというのは、どんな気持ちなんだろう。学校にも行けず、労働に明け暮れ、妹は10歳で家を守る為に、結婚させられ、強制的な性行為によって殺される。彼は、自分以外の子供を守ろうとする優しい心を持っていて、立派に生きたいだけだと言う。
裁判で両親が言った。
こんなに苦しみながら生きている私達を裁くのか？あなた達なら耐えれないと
きっと彼女達も、もうどうしようもないくらい追い込まれているだろうし、這い上がる力も知恵もないのかもしれない。
多分ゼインは、すべて、わかったうえでそれならば、せめて子供産むな、同じことを繰り返すなと言ったんだと思う。
無責任な親は、自分達を守る為、子供産み続けていたのかもしれない。この闇からは、簡単には抜け出せないのかも
この映画を通して、親の言う子供を産み、一緒にいる幸せと、子供が感じる、自己満足の幸せな家族づくりや親の所有物ではないという深い闇がより近くで観ることができた。
確かに形式上だと存在のない子供たちなのかもしれない、でもこの映画を観た人にとっては、忘れられない存在として心に残ると思う。
