ねぎとろ

帰れない二人のねぎとろのレビュー・感想・評価

帰れない二人(2018年製作の映画)
4.7
すごい映画を観ました。

まず、中国人監督による中国ロケ映画なので、その世界観だけで痺れる。共産主義っぽい建物やネオンが物語の背景として映るので、えもいわれぬ非現実感を伴って、作品の舞台に吸い込まれます。

また、地元の草原、船で進む長江、電車が走るなんもない広大な土地に、ダム建設で沈む予定の土地や五輪後廃墟となった建物が重なり、ニューフロンティア感と荒廃が混在してるリアルな中国を垣間見れた気になる。それを観るだけでも価値あるかな。再会時の雨でびしょ濡れ状態の階段の反射もやばかった。

あとはなんと言っても、主演のふたり、特に女性が本当に素晴らしい。時間が経った後のシーンでも「何年後」という表現がされないので、時間の経過、感情の変化、心情と発言の相違などを、ちょっとした機微で表現してる。説明が多くてしらける映像表現が多い昨今、これもかなり痺れました。

物語もかなり渋い。ほぼ説明がないけれど、付かず離れずの間柄がじわりと伝わってくる。女性は常に自分で決めて自分の責任を取っているのが素敵でした。男性役の方は顔貌がいいなぁ(かっこいいとは違う、絵になる感)と思ってたら、ディアオ・イーナン監督作品の常連俳優で、観たことあった。でも役どころは終始、プライドで凝り固まった自分勝手なやつでしたね。

舞台も役者も、作り込まれてる感がないのに、どんどん惹き込まれるのは、こりゃなんだ???

中国映画やばいな。映像の撮り方も素晴らしかったです。沈黙の多い話し合いのシーンで、一方が話し出したらあえてそちらにフォーカスせず、他方の人物にカメラが少しだけ動いたことに驚き、心象表現としてグッときました。

やばすぎて書き切れません。そして私の語彙力では、すごい映画観ちゃったー!としか言えない笑

最高でした。
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