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REVENGE リベンジのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

REVENGE リベンジ(2017年製作の映画)
4.0
【鮮血の鬼ごっこ】
第77回カンヌ国際映画祭で『The Substance』がデヴィッド・クローネンバーグみたいなボディホラーらしく評判になっている。この作品を手掛けたコラリー・ファルジャ作品は未観だったのだが、プライムビデオで配信されていたので観た。これが想像以上の傑作であった。

気持ち悪い男3人と喧嘩になった挙句、崖から突き落とされて串刺しとなった女が一人ずつ血祭りに挙げていくタイトルに寸分違わないシンプルな復讐劇。しかし、荒唐無稽ながらも丁寧に作られた本作は惹き込まれるものがある。

明らかに死ぬだろう串刺しからの生還というハッタリは、ビールを飲み、ペヨーテをかじりながら、ナイフで枝を掘り出し、ビールの缶で傷口を止めるといった豪快かつ繊細な描写でもって映画の中の物理法則を生み出し、観る者を共犯関係へと引きずり込む。

映画に出てくる人物は超人レベルで強いわけではない。枝のハッタリを除けば脆い肉体を持っている。ダメージを受ければ強烈な痛みと格闘せざる得なくなる。そんな中で銃を撃っても反動で大きくぶれる。女性ならなおさらだ。このような場合、銃弾はバカスカ撃つことはできず、一発一発が重要となってくる。

映画はその緊迫感を最後まで持続させ、終盤には豪邸内で死角を使った心理戦に発展していく。自分の血が有利にも不利にもなる状態で、右回り左回りしながら追い詰めていく様子は滑稽愉快でありながらもリアルさを伴っており、コラリー・ファルジャは信頼できる監督であることがわかったのであった。
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