朗らかなこっぺ

モンパルナスの灯の朗らかなこっぺのレビュー・感想・評価

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)
3.7
 ジェラール・フィリップさんが画家モディリアーニの生涯を演じている。奇しくも彼自身がモディリアーニと同じ36歳?とかで亡くなっているのが何ともやるせない。
 モディリアーニの破滅的な生活や悲運な末路にスポットを当てつつも、オリジナルキャラクターとして画商を登場させたことで、「時代が追いつかなくて可哀想だったね」というゴッホ映画とは異なる、ヒューマンサスペンス的というか、史実ミステリー的要素が漂う独特な作風になっていて、製作者側の一種の企みを感じる。なかなかに後味の悪いラスト。
 ジェラール・フィリップさんとアヌーク・エーメさんが、お二人とも絵画から抜け出してきたみたいな神々しい美しさで、同じ生命体とは思えない。この時代のフランス映画って、なんて贅沢だったのだろうと羨ましくなる。